2023年度第1回研究部会活動報告

藻岩山きのこ観察会
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活動報告の詳細
2023年度第1回研究部会活動報告
2023.09.10
        中田洋子、小林孝人、大川原辰紀、荻原裕
9月10日(日)9時から、昨年度と同じ円山公園において、発生しているきのこを調査した。
発生しているきのこを目視で子細に確認するとともに、試料として採取し、午後から北海道大学総合博物館において顕微鏡による胞子の形態観察を行った。種の同定には、「北海道本州沖縄などのきのこたち」及び「原色新日本菌類図鑑」を用いた。
この日詳細に観察した種は、ナカグロモリノカサ、ハラタケ、ハラタケsp.、 コショウイグチ、コウジタケ、クリイロイグチモドキ、コツブホコリタケ、そしてソウエルビエラ インペリアスの8種。

1 ナカグロモリノカサ
  昨年も研究部会で詳細に観察するなど見つけることの多い種。かさ中央部の褐色が濃いこと、かさの上に鱗片があること、根元がやや膨れること、傷つけると黄変することから現場にて同定(中田:カッコ内は同定者名。以下同じ。)。
2 ハラタケ
現場にて同定(中田)。つばは一重で、根元が細くなる。胞子は楕円形。
3 ハラタケsp.
 現場にて同定(中田)。つばは一重で、根元が細くなる。胞子は楕円形。
4 コショウイグチ
現場にて同定(中田)。前日に平岡公園で当会が支援して実施された「きのこウオッチング」でも多く観察されていた。
5 コウジタケ
現場にて同定(中田)。柄は淡黄白色地に赤色条線に覆われ、根元に淡黄色菌糸を付着。柄の中も淡黄色。肉を傷つけると徐々に青変する。胞子は類紡錘形。
6 クリイロイグチモドキ  
 傘の表面は栗褐色〜黄褐色で綿毛状、管孔は白色〜汚黄色。
胞子成熟の進んだ個体を半割にして観察したところ、貧弱な無性基部があることがわかり、チビホコリタケではなくコツブホコリタケと同定(中田)。胞子は類球形。
7 コツブホコリタケ
胞子成熟の進んだ個体を半割にして観察したところ、貧弱な無性基部があることがわかり、チビホコリタケではなくコツブホコリタケと同定(中田)。胞子は類球形。
8 ソウエルビエラ インペリアス
 ヒイロチャワンタケに似ていたが、色が鮮やかでないことから、室内でよく観察したところ、和名のないソウエルビエラ インペリアスと判明(中田、大川原)。肉は薄く、上面は鮮黄色〜橙黄色。子嚢胞子は楕円形だが、ヒイロチャワンタケと異なり網目状隆起はない。インターネットで見つけた海外のサイトがヒントになった
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